『アビ・ヴァールブルク著作集』(ありな書房)を入荷いたしました。
2007年 伊藤博明 ほか訳 ありな書房
アビ・ヴァールウブルク(1866-1929)はドイツの美術史・文化史家です。
『サンドロ・ボッティチェッリの≪ウェヌス誕生≫と≪春≫』で博士号を取得し、ユダヤ人銀行家の長男として生まれたことを背景に大学に所属することなく、一族の財力によってイタリア・ルネサンス文化を中心に資料収集を行い研究をつづけました。それらの収集はハンブルクに設立された研究機関ヴァールブルク文化科学図書館として完成します。
彼の画期的なイタリア・ルネサンス美術研究はルネサンス人の心理的特性を古典古代の芸術作品を範型とした表現のなかに探り、また一方で他地域や多ジャンルの交流から形成される文化的ネットワークに着眼しルネサンス視覚文化の研究領域を拡大しました。その仕事は図像学(イコノロジー)の基礎となり、パノフスキーらの美術史的方法へ大きな影響を与えました。
本著作集は学位論文『サンドロ・ボッティチェッリの《ウェヌスの誕生》と《春》』はもちろんのことヴァールブルク自らが現地で写真に収めたアメリカ先住民たちの生活や儀礼から蛇の図像を古典古代やキリスト教世界へ逆照射することを試みた『蛇儀礼-北アメリカ、プエブロ・インディアン居住地域からのイメージ』まで興味が尽きません。


