新規入荷書籍 『萬安方(全)』(科学書院)

梶原性全著 石原明解題 科学書院 1986年刊 

鎌倉時代の医家梶原性全の代表的著作である「萬安方」を影印した科学書院の『萬安方(全)』を入荷いたしました。「医心方」は平安時代の医書として高名ですが、「萬安方」は鎌倉時代を代表する医書といわれています。

梶原性全は鎌倉時代の医家です。「萬安方」のほかに「頓医抄」という医書を残しており、足利義満に仕えていたとも伝えられていますが、詳しいことはわかっていません。

本書の底本は内閣文庫が所蔵する写本です。江戸時代までは梶原性全自筆の「萬安方」が伝わっていたようですが、現在ではその所在は不明ということです。石原明の解題によれば、萬安方は頓医抄と異なり自家以外の人に見ることを許さない秘本であったこと、分量が多かったことなどが理由でほとんど写本が残っておらず、数少ない写本の中でも、内閣文庫本は梶原性全自筆の原本を延享二年に写して幕府に献上したものであるため価値が高いそうです。

本書は本文上下二段組、解題を含めると約1750ページもある大冊です。原本の見開き1ページ分が本書の1ページの半分に収められていることを考えると、内閣文庫本がいかに大部の書物なのか想像できるでしょう。

素性のよい「萬安方」の写本を収録した貴重な一冊です。日本の医学史に関心のある方にはもちろん、東洋医学や漢方に携わる方には大いに参考となる書籍でしょう。

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萬安方


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