『朝鮮半島の農法と農民』の入荷情報です
高橋昇著 飯沼二郎ほか編 1998年発行 未来社
昇氏は1918年東大農学部卒。翌年から敗戦までの26年間、総督府の農事試験場に勤務し、その間、「虚に朝鮮の農家から学ぶ」をモットーとして、朝鮮農業の研究に心身を削った。このような昇氏の態度は、日本の農業技術を朝鮮人に教えてやるという高慢な日本人農学者一般とは全く対照的な態度であり、そのような研究態度こそが、この膨大な調査資料を生み出したのである。敗戦後、それは日本に持ち帰られ、昇氏は自身で理するおつもりであったが、帰国数カ月後に急逝され、その理は、森秀男氏の手にゆだねられた。
しかし、森氏もまた、その完成を見ずに1989年逝去され、今回ようやく未来社によって待望の刊行が実現されることになったのである。
日帝下の朝鮮人は、ほとんど農民であった。ところが、当時の朝鮮農業の具体的な在り方を示す資料は、きわめて僅かで、しかも断片的なものに過ぎなかった。今回出版されるこの朝鮮全域にわたる資料は、農業はもちろん社会学・民俗学その他にとっても貴重であり,日帝下の朝鮮研究を画期的に推し進めることになるであろう。しかし、それだけではない。私は45年の農業研究の結果、昔からその地で行われてきた伝統に基づいて近代化すれば農業は必ず発展し、伝統を否定して近代化すれば農業は必ず教退することを確するが、この資料は、ただ単に過去の朝鮮農業の姿を具体的に知らせるばかりでなく、また、今後の韓国・朝鮮農業の真の近代化の基礎をも明らかにすることになるであろう。


