『枕草子大事典』入荷いたしました

枕草子研究会編 平成13年 勉誠出版発行

和歌文学・物語文学・日記文学とはその性格を異にする中で、一応「随筆文学」とは称されているが、方丈記や徒然草とも質的に異なるものである。枕草子の前にも後にも、このたぐいの文芸形態は見ることができない。枕草子の形態・内容のあり方はこの作品の独自の個性といってもさしつかえないものと思われる。

また、枕草子は源氏物語と並び称されて、平安朝文学の双璧を成しているが、源泉となった先行作品の系譜を持たない特殊な作品である。五十嵐力博士の言葉を借りるならば「大空に孤高を持したる枕草子」ということになるであろう。このような見解の故であるか、枕草子の研究は源氏物語のそれと比較して、自ずと取り組み方にへだたりが生じてきたように思われる。源氏物語には読解・研究の資として、膨大な諸研究の成果を吸収した、数種の辞典や事典が刊行されて広く利用されている。残念ながら枕草子にはこれらに放するものがない。これまで、二、三の先学によって刑行の立案があったやに聞き及んでいるが、その現実を見るに至らなかった。枕草子に関する研究は、特に明治以降、各分野に亘って拡大し、夥しい数の論考が発表され、それなりの成果を挙げてきた。その上、近年では古注釈とは異なった角度からの研究がなされ、新しい著書や論文が発表されるようになった。そこで、これまでの研究の成果と新しい傾向の研究とを具体的に繁理し、今後の展開の手引きとなる基本書の必要性を強く感じた。枕草子の魅力とは何なのか、読解のあるべき姿とは何なのか、などを有効にまとめて『枕草子』事典を編集し、二十一世紀における枕草子研究及び読解の真の資となるようにと考えた結果、この『事典』の刊行の運びとなった。

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枕草子大事典


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